自然エネルギー普及の仕組み
ドイツのアーヘン市では、太陽光発電・風力発電など自然エネルギーによる発電を普及させることを目的とし、1995年に条例を制定しました。
ドイツでは、電力供給公社が電力会社から電気を買い取り、それを家庭や企業に供給する仕組みとなっています。
アーヘン市は条例により、電力供給公社に対して、自然エネルギーによる電気を通常の電気料金と比較して、高額な固定価格での長期の買い取ることが義務化されました。
買い取りのための財源として、市内の電気料金を一律1%引き上げることにより250万マルクが調達されました。社会コストで負担することで、公社の収支に影響させない仕組みとしました。
これによって太陽光発電1000キロワット、風力発電6000キロワットが設置可能となりました。
アーヘン市の実績
電力供給公社の電力買い上げ単価を太陽光発電の耐用年数期間にわたり一定の割高な単価(1995年度は通常の10倍の140円)に設定することで、元利返済額のほぼ100%を発電事業世帯が売電収入で賄えることを保証し、クリーン発電設備の普及を促進しました。
環境保全を促す政策の促進に必要な電力買い上げ財源を市の一般財源からの助成ではなく市民による直接助成金に頼っていることも特徴の一つです。財源として市民(個人・法人)が普及を意図する設備と競合する財・サービス(つまり化石燃料発電)の利用量に比例して利用額の1%が徴収されます。
アーヘン市の人口約26万人(約13万世帯)のうち、電力買い上げ助成の対象になる年間住宅数357世帯(1994年時点)は全体のわずか0.26%にすぎませんでしたが、「電力料金の1%上乗せを市民全体で負担する」という市民の合意形成を達成することができました。環境に良いことが自分に対して直接的な利益をもたらさなくても「負担」をいとわないという個人・法人が大多数を占めました。
ある1つの世帯からの電力の買い取り価格は、想定される設備の価格、耐用年数、その間の発電量等によって算定されます。よって、設備の購入価格をより安く、実際の耐用年数をより長く、自家消費分を抑え売電量を増やし、発電設備稼働率を高くするほど設備運営者が得をする仕組みとすることにより、設備運営者のやる気を引き出しています。
毎年の新規助成枠決定においては、設備価格の低下、発電効率の向上を見込んだ買い上げ電力価格を低めに設定するので、設備メーカー、販売業者に対し自社製品を顧客に選択してもらうための技術革新、価格競争を促進し発電コストの低減を促す効果を生み出します。
このような施策によって同一助成金総額において助成対象になる世帯数を年々増やすことができ、アーヘン市内において自然エネルギー発電設備に対する新規需要を生み出し新規の雇用と所得の創出に成功しました。