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トラベルスマート事業(オーストラリア/ダービン)

個人マーケティングの活用

イメージ図

アンケート謝礼品用の布製バック

オーストラリアのダービン市は、オーストラリア政府や州の資金協力を得て、徒歩や自転車、公共交通機関利用促進のための事業「トラベルスマート事業」を、30,000世帯の参加と車の使用率の10%削減を目標とし、2004年3月から1年間実施しました。
このトラベルスマート事業は、ヴィクトリア州政府から200万豪ドル、オーストラリア政府から100万豪ドルの合計300万豪ドルの予算で行われており、個人マーケティング手法「IndiMark®」を開発したソーシャルデータ社が受託及び実行しています。トラベルスマート事業の具体的なプロセスには、対象者への直接接触や情報提供、交通手段についての検討への誘導等、ソーシャルデータ社によって考案されたマーケティング手法が随所に活用されています。
具体的にはまず、活動実施が特定されたコミュニティーの各世帯に電話をします。既に環境にやさしい交通手段を利用している世帯にはアンケート調査を行い、そのお礼として傘、サイクリング情報、万歩計等の物品提供を行います。興味があるという世帯には、直接訪問を行う等して積極的に働きかけ、動機付けを行うために公共交通やサイクリング、ウォーキング等の情報(サービスパック)の提供を行いました。
更に、これら一連の活動から、今後必要となる移動手段やサービスを予想したり、各世帯に対して満足度調査を行ったりしてフィードバックをしています。
同等のトラベルスマート事業を630,000豪ドルの予算で6,310世帯を対象に行ったオーストラリアのアルメイン市では、車の利用は15%減少、公共交通機関の利用は27%上昇という成果が出ています。また、同様にアメリカのポーランドでは、2002年から2年間、150,000米ドルの予算で600世帯を対象に行った結果、9%の車利用が減少し、その後予算を拡大したり、ポーランド市独自に実施したりと活動を広げています。

自治体の持続可能性を目指す統合的交通対策

2000年ごろから、ダービン市を始め多くのオーストラリアの自治体に、持続可能な交通対策官という新しいポストが設置されました。このポストは、単なる交通量削減対策や乗用車利用を単独で考えるのではなく、交通の便や移動性、安全性等を包括的に検討するというもので、同市の統合的交通対策の第一歩となっています。そしてこのポストは、行政区域内の全ての人が公共交通機関、サイクリング、ウォーキングについて考えるように教育し、それらの利用を促進する役割を担っています。
さらに、同市では、市民と共に交通行動の変化を働きかけていくために、210,000豪ドルの予算を掛けて行う「統合交通対策プラン」を2000年に策定しています。
その中の対策の一つであり、2001年から行われている「グリーントラベルプラン」は、2008年までに職員の自動車利用を50%削減してより持続可能な交通手段の利用を促進しようというもので、相乗り調整サービス、駐輪場の整備、出張のための無料メットカード(プリペイドカード)の提供、インセンティブプラン等の活動を行っています。インセンティブプランとは、職員が業務で公共交通機関を利用した場合、役所内のイントラネットにログインしてポイントを加算し、そのポイントが貯まると100豪ドルの商品券が提供されるというものです。このイントラネット利用システムは市販されていて、関心のある他の自治体も利用することができます。これらの活動を行うグリーントラベルプランでは、2004年の段階で、プラン開始の2001年に比べ、10%の自動車利用減少という成果を出しています。
その他にもダービン市では、統合交通対策プランの一環として、カーシェアリングやサイクリング戦略、高齢者がボランティアと一緒に公共交通機関を利用し外出することを支援する事業や観光業者のためのグリーントラベルガイドラインの作成といった様々な対策を講じています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「海外先進都市事例集」