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持続可能な国際都市づくり(ドイツ/ハノーバー)

市が果たす重要な役割

ドイツのハノーバー市では、1992年に市が打ち出したエネルギー政策の方針に基づき、持続可能な国際都市を目指した総合的な取り組みが実施されています。
その中でも省エネ利益の配分制度はドイツ国内に広まったほど注目されました。その内容は、同市が電力料金を支払っている学校や幼稚園、公共の建物等の団体が省エネを実施すると、それによって得た利益の30%が実施団体に還元されるというもの。さらに還元された団体は40%をエネルギーと水使用削減のための対策促進に使うことができ、残り30%を市が受け取るという仕組みになっています。これによって削減資金が循環され、持続的な有効利用が可能となります。
この他同市では、市保有の土地を売買する際に低エネルギー住宅の建設の義務づけたり、地区暖房の拡大、公共建物の駐車場を有料化してその利益を市職員の公共交通機関の利用費用に充当する「ジョブチケット制度」を導入したりと、工夫を凝らした様々な取り組みを打ち出しています。
また、市長室に所属する「アジェンダ21事務所」では、ハノーバー市のアジェンダ21行動計画の評価に加え、失業率が11.3%にも達するこの地域に対して、雇用や社会福祉政策と地球温暖化防止政策とを結びつけることによってボトムアップするための活動を支えています。

エナーシティー

イメージ図

クロンスベルク地区のソーラー住宅

ハノーバー市が1992年にエネルギー政策の方針を打ち出す際、協力して行った団体が現エナーシティー前身のハノーバー事業団でした。ハノーバー事業団は、電力やガス、水供給等の公益サービスを担当する事業団の中でも、ドイツで最大規模の団体でした。その後電力が2001年から自由化され、ガスも2002年から完全に自由化されたのに伴い、ハノーバー事業団は名称をエナーシティーに変更しました。株主構成は、ガス会社2社が各12%、市が75.1%、周辺自治体が0.9%となっています。
エナーシティーは、ダムや発電所等を新規に建設するよりも、エネルギー効率を高めて省エネを促進しつつ需要を喚起した方が費用も少ないという最小費用計画方針に基づいて、省エネ型家庭用機器への購入助成金、電力料金の体系の変更による消費者の選択肢の拡大、燃料の使用効率を90%上げることができる小規模コジェネ設備の設置促進等に取り組んできました。
住宅政策に関しても、エナーシティーは積極的に活動を行っています。既存住宅の改修に関しては、は1994~1997年の間、26団地合計300戸の断熱改修工事に対して助成を行いました。新規住宅の省エネについては、1990年代初めから省エネルギーモデル住宅建設事業を始めています。中でも有名なのが2000年のハノーバー万博で展示の一部にもなった、クロンスベルク地区開発事業で、省エネルギー住宅基準が全面的に適用され、2ヶ所のコジェネ施設からの地区暖房も導入されています。これによってクロンスベルク地区では、従来の新築住宅と比べて60%ものCO2排出削減を達成しています。その他、自然の風、気温、太陽光や太陽熱を最大限に利用したパッシブソーラー・テラスハウスが32戸建設されたこともあり、併せて年間100トンのCO2削減効果があがりました。

温暖化防止対策への取り組みの波及

ハノーバー市はエナーシティーと周辺5自治体、および民間企業等と共同で出資し、1998年にプロクリマ基金を設立しました。エナーシティーの利益、および電力供給を受ける周辺自治体が支払う契約金の一部が、「プロクリマ基金」に積み立てられ、毎年平均500万ユーロの資金を、1,500件以上の事業に提供しています。この基金は、低所得者に対して地区暖房への連結工事への補助を行う等、ハノーバー市の積極的な地球温暖化防止対策を可能にしています。
また、2001年には、温暖化防止対策を通した地域経済の発展と長期的な雇用の創出を目的として「ハノーバー地域気候保護センター」が設立されました。同センターでは、年間予算約100万ユーロのうちプロクリマ基金から約30万ユーロの事業資金を受けて、太陽エネルギーの利用や企業への温暖化防止対策関連情報の提供や仲介等の活動を行っています。中でもエナーシティー、ハノーバー市に引き継いで実施している既存住宅改修時の断熱工事促進キャンペーンでは、住宅のエネルギー消費の現状と改修策が記される「エネルギーパス」がないと改修工事への補助金が受けられないといった制約を設ける等して、2001年に4,500トンのCO2削減が実現されました。
前述した関係諸団体の設立の他、ハノーバー市では再生可能エネルギー分野にも力を入れています。2000年ハノーバー万博展示の一部として、エナーシティー(当時ハノーバー事業団)が建設した魚の迂回水路を設けた水力発電所は、年間4,000トンのCO2削減をもたらしていますし、クロンスベルク地区に設けられた3基の風力発電装置は約3,000世帯分の電力を賄い、同地区の電力消費量の10%を供給し、CO2排出を5%削減しています。太陽光発電においてもクロンスベルク地区での太陽光エネルギー供給は効果的に行われており、その他民間投資家による太陽光発電装置のための基金ができたり、「ソーラー週間」というイベントが行われたりと、あらゆる取り組みがなされています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「海外先進都市事例集」