住宅における省エネ対策の問題点
壁の隙間を埋める断熱工事(写真提供 カークリーズディストリクト)
英国のカークリーズ ディストリクトでは、住宅からのCO2排出を削減するため、2000年から当該地域の世帯・住宅を対象に、合理的で費用も適正なエネルギー効率の高い暖房や断熱工事をすすめる省エネ対策を実施しています。
この事業は、非営利団体であるカークリーズ・エネルギー・サービス(KES)が、ディストリクトの予算等を得て行っています。
この省エネ対策を実行する当初、英国世帯が住宅関連部門から排出するCO2は、1世帯あたりの平均が年間6トンという調査結果がありました。そして、省エネ対策を実施することによって、1世帯あたり年間200ポンドの節約ができ、年間2トンのCO2を削減することが可能であるとされていました。
尚、その省エネ対策のうち80%は、壁や屋根裏の断熱とボイラーの効率的暖房調整で達成できるとされ、寒冷地においては、健康管理の面からも低所得者や高齢者の住宅改修が必要であると言われていました。
しかし、この省エネ対策を実行するにあたり市民は、省エネ方法やその費用対効果がわからない、各種優遇ローンや払い戻し等の制度の存在や利用法を知らない、暖房や断熱工事業者のサービス内容や価格の適正さがわからない等の問題を抱えており、理想とされる省エネ対策がスムーズに行える状況ではありませんでした。
それらの問題を解決するため、住宅における省エネ対策を実行する「省エネ実行プロジェクト」では、窓口を1本化した上で、市民が簡単に相談や情報の入手ができ、価格が公正で信頼できる業者や優遇制度の紹介が受けられるように、省エネ住宅の情報・仲介センターを設け、住宅における省エネ対策に向けて体制を整えたのです。
情報・仲介センターのサービス内容とその効果
省エネや断熱工事のパンフレット
KESが整備した省エネ住宅の情報・仲介センターは、一般家庭を対象として、省エネ住宅についてのあらゆるサービスを提供しています。
具体的には、省エネ相談や設備機器紹介、住宅のエネルギー診断といった情報提供や、優遇ローンや費用の払い戻し等の資金補助制度の紹介、顧客サービス基準を満たす設備業者の紹介等が挙げられます。
また、市民に広く省エネ住宅について知ってもらうために、プロジェクト開始当初6ヶ月間は、ポスターや冊子の配布、メディアを活用したプレスリリース等、様々な広報活動を行ってきました。
さらに、市民への情報提供や業者紹介のみならず、改修工事実施状況のモニタリングや様々なアンケート、相談者の住宅状況・登録業者・補助金制度のデータベース作成等によってフォローアップも併せて行いました。
上記のようなプロジェクト実行の結果、3年余りで1,455世帯が2,080の改修工事を行い、工事前より省エネ化された住宅となりました。この効果は、CO2に換算して34,300トンの排出が抑えられる計算になります。
尚、2003年9月までのこのプロジェクトへの投資総額については、事業準備や運営コストも含めて、1,824,000ユーロにのぼりました。このうち62%は利用世帯の支出、16%は英国政府や電力会社等からの払戻金、11%はカークリーズとカルダーデールディストリクトの支出、8%は助成金、3%が登録業者からの紹介料という構成となっています。