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ブルントラントモデル都市(ドイツ/フィルンハイム)

住宅対策から始めるCO2排出削減

イメージ図

ボールが減ってきた温室(写真提供 フィルンハイム市)

ドイツのフィルンハイムは、ヘッセ州が選出した、総合的・効果的かつ持続的にCO2排出を削減するモデル都市「ブルントラント都市」です。2010年までにCO2排出を30%削減することを目標に掲げ、エネルギー効率の高い技術の利用や市民の生活習慣の変化の促進等、地域の持続可能な発展を実現するための取り組みを行っています。
同市はまず、上記目標に向けて住宅政策から取り組みました。個人の住宅所有者と賃貸ビルを対象として、エネルギー効率の良い住宅にするための断熱・回収工事に対して、改修面積に応じた補助金の提供や、建築専門家の助言、工事中と工事後の検査等を実施しました。住宅仲介業者、建築家、土地開発業者、建材業者、金融機関や不動産オーナーへは、手紙発送キャンペーンや地元紙への広告によって呼びかけ、この制度の普及を目指しました。
その結果、1994年のプロジェクト開始から2004年までの住宅改修投資額は9,400,000ユーロにのぼり、居住面積の16%のエネルギー効率が上がり、年間2,900トンのCO2を削減することができました。また、工事業者の技術向上や雇用拡大等の副次的効果ももたらされました。
このプロジェクトは1998年までブルントラントモデル都市として州の補助で実施されていましたが、ヘッセ州の支援終了後も、市の予算で補助金制度を継続しています。継続後の新制度では、改修面積に応じてではなく、工事によって実現された省エネの実績によって補助金を出しています。補助金のうち、70%は施工主、30%はエネルギー効率を保証する専門家に支払われる仕組みで、補助金総額は年間60,000ユーロとなっています。

ソーシャルマーケティングの活用

フィルンハイム市では、CO2排出削減に向けて、ソーシャルマーケティング手法を使った教育啓発や市民活動への支援に力を入れています。ロゴやスローガンでキャンペーンを盛り上げ、それらを使った冊子、ポスター、旗等の様々な手段で地球温暖化防止を訴えることで、イメージを構築しました。
また、1,000個の「CO2」と書かれたカラーボールをガラスの温室に入れて展示する等、キャンペーンシンボルの作成にも力を入れました。このカラーボールは様々な機会を設けて参加者に配布され、10個ボールが減る毎に1本植樹されるというように、更なる工夫が凝らされています。ボールを配布することで、子供を通して家族や友人への波及も目指しました。
この他にも、温暖化防止をスタンプにする「GROスタンプ」の導入や、地域グループへの働きかけなども行われました。
これらの取り組みにより、市民は地球温暖化防止活動に非常に良いイメージを持ち、93%の市民がその重要性を認識しているという調査結果が出ています。加えてフィルンハイム市が「ブルントラント都市」であることに誇りを持っていると答えた市民は66%にのぼり、60%の市民がソーシャルマーケティングキャンペーンを大変良いと評価していたようです。
その後もスポーツ観戦チケットの裏に断熱工事や省エネ対策の広告を掲載したり、地球温暖化をテーマにしたブルントラントフェスティバルを毎年開催したり、地球温暖化防止に関する専門誌を発行したりと、取り組みの幅を広げています。
さらに、同市は、この様なソーシャルマーケティングに加えて、生活習慣を変えることを主眼においてカーシェアリング等の市民活動に助成金を出したり、CO2削減に関する会議「機構会議」を定期的に開催し、その結果を政策に反映したりと、あらゆる角度からCO2削減に向けて活動を行っています。

4年間のプロジェクトの成果と課題

フィルンハイム市の持続可能な発展を実現するための様々なモデル事業は、1994年~1998年の4年間、ヘッセ州からの2,300,000ユーロの補助金で実行されました。その後も同市は独自の財源で継続しています。
この取り組みにより、住宅のエネルギー効率は向上し、省エネ工事実施住宅は順調に増加しているにもかかわらず、2003年時点でのエネルギー起源のCO2排出量は、1990年比でほぼ横ばいの180,000トン強という結果となってしまいました。これは、当初予想しなかった人口増(6.86%)、住宅数の増加(15.46%)、一人当たり居住面積の拡大(11.73%)、1住宅に住む人数の減少、さまざまな新電気製品の普及等、といった事態によりCO2排出量が増加したと検証されています。これを踏まえて同市は、更に取り組みを進めています。

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター「海外先進都市事例集」