目指す将来像
【太陽と風を活かした建築デザイン】 太陽光や自然風などの自然のエネルギーを建築物内に取り込む「パッシブデザイン設計」など、それぞれの地域風土に合わせた建築技術やデザインが広く普及するようになります。また、断熱技術・日射遮蔽技術・自然通風技術などの個別の技術レベルも向上することで、住宅・建築物内の快適性を維持しながらエネルギー消費量の削減が可能となります。この結果、住宅の世帯あたりエネルギー需要は2000年と比べて2050年にはマイナス40%程度、建築物でも床面積あたりでマイナス40%程度にまで低減する見込みです。さらにそれぞれの建築物の屋根や壁面には、太陽熱給湯器や太陽光発電が標準的に設置され、特に低層住宅のほとんどでは、高断熱、パッシブデザイン、太陽エネルギー利用の組み合わせによって住宅の全ての使用エネルギーを賄う「ゼロカーボン住宅」となっていくことでしょう。
【家計に優しい環境性能】
新築や改築の際に、住宅のエネルギー消費量やCO2排出量などの環境性能をチェックし、その認証結果に応じた固定資産税やローン借入金利の減免措置を一般化することで、環境性能の高い住宅建築・購入へのインセンティブとなります。
既設住宅では安価に住宅性能コンサルタントのアドバイスを受けられるようにし、環境性能向上に向けた改築の提案について助言してもらえるようになります。さらに、コンサルタントを介することにより改築費用の割引やローン借入金利の優遇が受けられるなど、住宅の環境性能の高さを社会全体で高く評価する制度や仕組みが整えられます。このため、住宅を購入する際には、環境意識が高くなくても環境性能の優れた住宅を選ぶようになるでしょう。
【匠の技の育成・伝承】 地域それぞれの気候を活かした建築デザインと最先端の機器を融合させることができるような設計者・建築家が日本各地で増え、そのノウハウが次世代へと引き継がれていきます。また、200年住宅などの長寿命型建築物も広く浸透し、無駄な資源・エネルギーの消費が抑えられるようになります。
ステップ
【基準策定期】
今の日本では、住宅・建築物の購入時や賃貸契約時には、一般に環境性能についての情報が示されないため、選ぶ際の重要な項目となっていないのが現状です。また、現在でも住宅・建築物の環境性能評価を行うことは出来るものの、複雑な計算が必要な上に、評価を実施するスキルを持っている人材が不足しているために十分に普及していません。
そこで、既存の建築評価手法(CASBEE等)や欧州等で実施されている評価方法を参考にしつつ、建築物の用途別に簡易性能評価手法の確立を進めると共に、省エネ・省CO2性能診断に向けた診断士の養成を継続的に進めていきます。また、大学等に匠の建築技術を伝える講座を開設したり、各地域で施工者向けの研修会等を開催したりすることで省エネ建築技術・デザインを継承する下地を作っていきます。
【環境性能ラベリング導入期】
開発した評価手法を基に、住宅・建築物の環境性能を表示するラベリング制度を導入し、長期的な省エネ基準の目標値を建築物の用途別に定め、段階的に引き上げていきます。新築住宅は購入時、既設住宅では改築時、賃貸住宅・業務建築物については定期的にラベリングの認証・登録を義務付け、最低ランクの基準を満たさない新築住宅・賃貸住宅・業務建築物に対しては、高効率機器の導入や太陽光発電・太陽熱利用機器などの導入を通じて基準値を満たすように指導が行われていきます。
環境性能ラベルには、標準世帯の年間エネルギー消費量・CO2排出量に加えて年平均エネルギー費用等の経済性を表示することで、初期投資とランニングコストを比較できるようにします。また、環境性能ラベルに応じた税制優遇や低金利融資制度を組み合わせることで、住宅・建築物の購入時や賃貸契約時に長期的な視野に基づいて住宅や建築物を選ぶ大きな動機付けになります。
タイムライン
出典:2008年5月 / 低炭素社会に向けた12の方策(「2050日本低炭素社会」シナリオチーム(独)国立環境研究所・京都大学・立命館大学・みずほ情報総研(株))