目指す将来像
【食卓が育てる低炭素農業】 スーパーやレストランで食料品を選ぶ際、健康等に関する情報に加えてCO2排出量などが表示され、国産品・輸入品を問わず、低炭素型の農作物が人気となります。旬のものはもちろん、ハウス栽培の野菜であっても太陽熱や再生可能な生物由来の資源であるバイオマスを利用して作られたものが選好されるため、農家も様々な工夫をこらして低炭素化に向けて努力するようになります。また、スーパーなども低炭素食料品にエコポイントをつけるなどしてこれらの努力を後押ししていくでしょう。
【生産プロセスの低炭素化】 育てた土地の恵みが詰まった旬のものを旬の時に美味しくいただく「旬産旬消」が進む一方でエネルギーを多く消費するハウス栽培は大幅に減少していきます。ハウス栽培を実施する場合でも太陽熱やバイオマス、地域の中小水力などが積極的に利用されるようになっていきます。この結果、野菜や果物における収穫量あたりのCO2排出量は現在の半分以下に低減する見込みです。また、農業機械の燃料としても規格外農作物や農業廃棄物起源のバイオ燃料が利用されるようになり、農作物生産プロセスの低炭素化に貢献していくことでしょう。
【温室効果ガスを出さない田畑・牧場】 新たな農業生産手法への取り組みや技術開発、品種改良が進むことによって、田畑・牧場から排出されるN2O(亜酸化窒素)、CH4(メタン)などの温室効果ガスの量も大幅に低減していきます。
ステップ
【実証期】 低炭素農業の認証を希望する農家を募集して、農作物が消費者に届くまでのエネルギー消費やCO2排出量を表示する農作物ラベリングの実証試験を行います。低炭素農業の実証試験参加者と共同で更なる低炭素化に向けた手段を議論することで低炭素農業に向けた経験・知見を蓄積すると共に、実務ベースで経験を積んだ低炭素農業アドバイザーを育成していきます。
【普及期】
農作物ラベリング制度や低炭素農業認証制度の対象区間を全国へと拡大していきます。ただし、実際に低炭素化を進めるためには高効率機器や太陽熱温水器、バイオマスボイラなどの導入が必要な場合があるため、これらの設備に対しては自治体からの貸し出し(リース制度)や補助金制度を導入します。
また、低炭素農業による生産物が消費者に受け入れられやすいように、認証付きの農作物についてはその味や安全性なども評価し、政府広報等を通じて国内外に積極的にアピールしていきます。
さらに農作物の主要貿易相手国とは、認証結果を相互に承認できるように制度設計を行うとともに、日本の低炭素農業の知見を広く伝えることで、低炭素社会の実現に大きく貢献していきます。
【定着期】 消費者は低炭素農作物を選択しやすくなり、生産者は重油などのランニングコストの低減を図れるため、低炭素農業は標準的な手法となっていきます。そうなってきた段階で政府や自治体からの補助を徐々に減らし、自立を促していきます。
タイムライン
出典:2008年5月 / 低炭素社会に向けた12の方策(「2050日本低炭素社会」シナリオチーム(独)国立環境研究所・京都大学・立命館大学・みずほ情報総研(株))