目指す将来像
【木に囲まれる生活】
2階建ての低層住宅だけでなく、3・4階建ての中層住宅にも木造住宅が普及し、学校・病院・公共の建築物や低層の大型店舗・工場などにも強度や耐火性が高い木材(大断面集成材構造など)を用いた建築が普及して建築物の木造率は70%を超えるようになります。
家具・建具についても木製率は大幅に向上し、土木・建築用基礎杭、ガードレール・遮音壁など様々な用途に木材が利用されるようになります。
【復活する林業ビジネス】
作業道ネットワークの整備や林業機械の高度利用などにより、林業の労働生産性は2000年の平均値に比べて2050年には5倍程度にのぼる見込みです。
また、木材からなる再生可能な生物由来の資源である木質バイオマスを有効活用する技術を確立し、林地残材は年間900万BDT(Bone Dry Tonne: 絶乾重)以上利用されるようになります。
丸太生産量は5000m³に拡大し、2006年には20.3%程度だった木材自給率は65%を越えて増加していきます。ただし、伐採については成長の低下した高樹齢の林に限定し、低コストな造林技術による再造林も適切に行っていくため、持続可能な林業ビジネスが成立するようになります。
ステップ
【競争力回復期】
建材として利用できる国産材を最大限利用するために、木材製品に関する規格や規制の見直しを進めます。
今の日本の林業には、森林所有者にとって収益性の観点から間伐・皆伐を行うインセンティブが極めて乏しいのが現状です。その一因として、林業の単位が小さく効率的な森林経営の実施が困難であるという問題が挙げられます。そこで、森林管理の集約化(事業の共同実施)と補助金等による機械化の推進によって丸太生産の低コスト化を促進させると共に、小規模林業経営者が森林管理を適切に実施できる森林組合等の林業事業体に森林を長期管理委託あるいは売却し、これによって森林経営の規模拡大が進むような政策を展開します。
また、高い供給コストと高含水率・不定形のために利用が進んでいない林地残材の利用を促進するため、政府によって林地残材収集システムに必要な機械の開発、機械投資や残材搬出に対する補助を講じていきます。
【利用拡大期】
公共インフラ建設時に環境への負担が少ないものから優先的に調達する「グリーン調達」の徹底を図ると共に、木材の利用とマテリアルリサイクルに対して固定資産税の優遇措置や環境税等を導入することで、木材の利用を促進します。
その一方で、木材需要の拡大によって利益中心の無秩序な伐採が発生することを防ぐため、林業のガイドラインを定めて、第三者機関が持続可能な森林経営や環境に配慮した伐採を行う事業体を認証する制度を確立します。
同時に、木材の主要貿易相手国とも、その認証結果を相互に承認できるような制度にすることで、海外における違法伐採等の抑制にもつなげていきます。また、国内では森林の高樹齢化・大型化が進んで、新たな林業機械開発が必要となっていくため、大型トラックの走行可能な作業道ネットワークを整備していきます。
【利用確立期】 スギ材の多様な利用方法が確立することで、日本国内の建築木造率・家具木製率は70%程度となっていく見込みです。それと共に環境配慮型国産木材製品の競争力が世界水準に到達し、海外への国産木材販路が開拓されるよう木材産業を支援していきます。また、この頃にはバイオマス需要の拡大に対する林地残材の供給は頭打ちとなるため、短伐期バイオマス生産を開始して対応していきます。
タイムライン
出典:2008年5月 / 低炭素社会に向けた12の方策(「2050日本低炭素社会」シナリオチーム(独)国立環境研究所・京都大学・立命館大学・みずほ情報総研(株))